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「よし、改めて入学おめでとう。俺が1年間担当する、吉城だ。よろしく」
担任の名前は吉城 英樹(よしきひでき)。
翼は漢字が苦手なので、名前を読むことを、諦めた。
担任の吉城は、出席をたるために教室内を見渡した。
一瞬、翼は吉城と目が合った気がした。
しかし、ほんの一瞬だったため、翼は気のせいだと思うことにした。
「それじゃ、出席をとる。赤嶺…阿倍野……」
「高橋…名前はかなでか?」
「いえ、奏と書いてかなと読みます」
(奏の漢字は読みにくいからなぁ…)
不意に、翼は物思いにふけっていた。
しかし翼の名字も読みにくいため、「どーせ俺もだろ」と思い、身構えていた。
否、心構えていた。
「かざなし」
名前を間違えられることに、もう慣れているが、流石にぐさっときたのだろう。
翼は(半ば気だるげに)訂正のため、発言した。
「先生。かざなしじゃなく、ふうなです」
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