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翼のクラスでは、もう大半の生徒が帰っていた。
翼は自分の学校指定のカバンに、顔を埋めて嘆いていた。
ブツブツ言っているのをみたら、分からない人は恐らく、逃げるだろう。
「つばさ、帰ろう!」
声をかけられ、我に返った翼は「そっか…3時間授業か」と独り言を呟いた。
翼はカバンを持ち、立ち上がった。
「悪るい、ちょっと用事あるから先帰っててくれ」
と言いながら奏に、「ごめんな」と謝った。
「そっか…わかった。じゃあまた明日」
奏は手を振って「バイバイ」と言いながら、迎えに来た車で帰っていった。
「相変わらず、高級車で帰るのか…」
翼はそう呟きながらカバンから、錆びた古い鍵を取り出した。
そして帰り道ではなく、学校の屋上に向かった。
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