はじまり

3/3
前へ
/62ページ
次へ
「?」 ぺたぺたと触ってみると、自分の周りは、見えない壁で囲まれているようだった。 まるで閉じ込められてるみたい。 「こっち側に、興味があるのかい?」 優しい声は、再びリオの骨を震わせる。 こっち側とあっち側。 どっちがどっちでもいいけれど、私はあなたのそばに行きたい。 そのことを上手に表現できないから、リオは再びこくんと首を縦に動かした。 すると、見えない壁に触れていたリオの手に合わせるように、彼も手を伸ばしてきた。 「言葉も理解できるなんて…。素晴らしい。リオ、これからよろしくね。」 壁ごしに、彼のぬくもりが伝わってくる。 リオは嬉しくて、再び首をたてに動かした。 それが、はじまり。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加