Prologue

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螺旋階段を一気に駆け下りた所で、全身が震える。   …………怖い。 突然の出来事で身体は一度は動いたものの、状況を把握していくに連れて、全身を満たす恐怖感。 外への扉を目前に足がもつれ、音を立てながら視線がぐっと床に近づく。 「いっ……」 痛みを堪えるのも束の間、急いで立ち上がろうとするが、足が震え一向に立ち上がる事は出来ない。 振り向くといつの間にか彼らは螺旋階段を下りた所まで歩み寄ってきている。 その手には血のついた刃物や、拳銃のようなものまで持っていて、不気味な笑みを零しては、まるで餌でも見るかのような目をしている。 が、その瞳からは生を感じる事はない。まるで人の形をした化け物のようで、本当に人間なのかすら、疑ってしまう。  やばい。  脳内に分泌される危険信号がピークに達し、焦れば焦る程頭の中が真っ白になっていく。  気付けば彼らはもう手の届く距離で、躊躇いも無く刃物を振り上げた。 向き直し、両手で身体を引きずるようにして前進しているものの、もうダメか……という諦めが頭をよぎったその刹那、心臓が止まる程の激しい数発の銃声が、部屋中に鳴り響いた……
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