Prologue

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 一軒家に着いた頃には夕日もとっくに落ち、外は黒一色となっていく。それだけでも虚しさが産まれるには充分だった。 足元を照らす空高く光る月。こんなにも月明りを頼りにするのは、多分初めてだろう。  此処に辿りつく途中、この家の室内の電気が点いたのを見て、人の存在を確信したのと同時に、ぽつんと光るほのかな光を頼りに、此処まで歩いて来れたのだ。  近付くにつれて、この建物の敷地の巨大さが感じられる。2階建てで、2階の窓からこちらを覗く大きなシャンデリア。     きっとこの家に住む方は貴族かお偉い立場の方、あるいは大富豪邸なのだろう。  正面入り口であろう扉の前まで来たものの、ベルもインターホンも見当たらない。  僅かに躊躇うも  「すみませーん」  と何度か叫んだり、ノックをしてみるが、何の反応の無いまま、また静寂に戻るだけだった。  明かりは点いているから誰かしら居るはずだ。こうなったら直接話しを伺おう。  少々の葛藤の末、恐る恐るドアノブを引いてみると、思ったよりも楽に扉が開いた……
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