Prologue

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  若干の罪悪感と共に、一歩また一歩と足を踏み入れる。   人の声もしなければ、足音すら聞こえない。さすがに少し薄気味悪い。   外から虫の声が聞こえるわけではなく、無音。その言葉が完全に当てはまるような静けさ。   本当に人が居なければ、空き巣と間違われてもおかしくない状況で足を進ませる。例え泥棒と思われようが、独りでいるよりは大概マシだ。     天井に我が主と言わんばかりにぶら下がったシャンデリアに、匹敵するほど豪華で綺麗なインテリアが部屋中に置かれている。    それは几帳面に整理され、掃除されているようだ。    やがて螺旋(らせん)階段に辿りつくと、一段一段足音を立てないようにそっとのぼっていく……
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