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「はい? なんですか?」
うん。
言いたい事は分かっている。
十中八九、うるさいだ。
でも今僕は、絶賛悪役を演じているので、嫌味っぽく聞き返したのだ。
やば…。
将来、悪役の仕事が来たら普通より演技が出来る自信があるわ。
おっとっと。
今はそんな事を考えている場合ではなかったな。
ほら、立花 綺羅先輩の拳が、わなわなしている。
「うるさい……。うるさい……。うるさぁぁぁい!!」
とここで、立花先輩の線が切れた様で、一帯に響く様な声で叫んだ。
「アンタに何がわかるって言うのよ! アタシの気持ちも知らないでさ! それに、スズちゃんは凄いの! 偉いの! 賢いの! アタシなんかが喋りかけちゃいけないの! アタシみたいなのと一緒に居たら、スズちゃんの評判が下がっちゃうから。迷惑はかけたくないの!」
瞳に涙を浮かべて、肩を上下させ、言葉を吐いた立花先輩。
涙を見た時に、罪悪感に押しつぶされそうになっているあたり、やっぱり僕には悪役の才能は無いのだろう。
でも、まだ肝心な事を先輩の口から聞いていない。
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