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ビール一杯と白ワイン二杯を飲み干して、高田様は「お会計」と言う。
彼のお会計を済ませたあと、入り口までお見送りをする。
「ほなまた近いうちにきてくださいね、もう三ヶ月とかあけられたらめっちゃ寂しいんすから」
「僕はまーやんに寂しがられるより、のりちゃんに寂しがられたいんだけどな」
「えっ、あ、じゃあ、あの、寂しいです。また明日お待ちしております」
おもしろく返せなかったな…と思っていたが隣で的場さんは大笑いをしていたので胸を撫で下ろすと、じゃあね、と高田さんは階段を降りていった。
「高田さんかっこえーやろ、まあ俺のがかっこええけどな。惚れたらあかんでのりちゃん。あの人はほんまに女たらしやからな」
「惚れませんし、的場さんにも惚れません。それに私には彼氏がいるじゃないですか」
「俺はそいつ嫌いやけどな」
むっとした顔をして的場さんのほうを振り返ると「ごめんごめん」と軽く呟いてお店に戻っていった。
*
「今日さ、こんなことがあったの」
同棲している彼と晩ご飯を食べ終え、ソファで座ってニュースを見ながら彼に今日あったことを伝える。小説家がきたこと、マスターがしゃべらないなと思ったら椅子に座って寝ていたこと、的場さんが女性のお客さんを口説いていたこと、ビールサーバーは噴射して頭からビールをかぶったこと。
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