あおぞら

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あおぞら

空が青かった。 僕はきっとあいつが泣いているのだと 嘆いて 泣いて 呻いて 雲を切り裂くような声無き声で叫んだ それでも届かないのかと 怨み 妬み 憎み 青く光る世界のすべてを蔑んだ お願いだ お願いだ お願いだ 届かないとしてもいい 響かないとしてもいい 頼むから あいつを悲しませないでくれ 頼むから 空が青くなるほど泣かせないでくれ お願いだ お願いだ お願いだ 僕は 弱ってうずくまるあいつの元にかけよることなど 願っても 願っても 叶わないのだから 僕にはもう何もできないのだから… 空が泣いていた。 きっとあいつが笑っているのだろう 僕は安心して 空を仰いで 共に涙を流した…
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