流れ星の伝説

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オレの芸能界での輝かしい功績が海を越えて認められ 世界一名誉ある賞を受賞するコトになった。 『男の怪賞』 これ以上オレに相応しい賞はあるまい。 ようやく世界をひざまずかせる日がやってきたのだ。 眼前に伸びるレッドカーペット。 感無量とばかりに、オレは思わずウェイターの差し出した氷入りのアイスコーヒーを一気飲みする。 ノドに詰まりかけた氷を無理やり流し込むと オレは晴れ舞台への扉を開いた。 女性司会者を照らしていたスポットライトが オレへと降り注ぐ。 世界各国から招かれた首脳陣やVIPたちがズラリと列席する中 オレはそれらを完全スルーすると ステージ前方のテーブルを凝視した。 『オレの本当の仲間達』 自宅警備員時代、くすぶっていたオレの日常を、ネット上で見守り支え続けてくれたみんなの笑顔が、そこにはあった。 なんだ…? 目から大量の液体が漏れ出していやがる。 後でかかりつけ医を呼ばなきゃいかんな。 女性司会者のマイク越の甲高い声すらも騒音とばかりに オレは握りしめた拳をゆっくりと開くと 仲間達をビシッと指差し、高らかに告げた。 『お前ら全員… 抱いてやるっ!!』
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