第1章  全ての境目

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 何故図書室に来たのかというと、俺が所属する図書委員会で決めたことで、各クラスの図書委員は決められた曜日にカウンター当番をするというもの。  そして今日が、俺の番だと言うことだ。  早速カウンター席に座り、図書室の中を見回す。人はちらほらと居るが、殆どの生徒はノートや教材を開いて勉強してる。  (これは……暇になるな確実に)  そう思った俺は鞄の中から小説を取り出そうとした。けれど、お目当ての小説は鞄の中には入っていなかった。  俺は直ぐに今日1日の行動を思い出し始めそして、ある結論に辿り着いた。  「…………教室に置いてきちまった」  取りに行こうとも思ったが、当番を投げ出すことは俺のポリシーに反する。  (しゃあない、当番が終わったら取りに行くか)  時間は進み、図書室が閉館時間の5時を過ぎた。残っている生徒が居ないか最終確認をすると、電源パネルを操って図書室内の蛍光灯を消し、廊下へと出る。  廊下は蛍光灯の光りで明るいが、窓から見える景色はすっかり暗闇だった。  人気のない廊下を進み、明かりが消えた教室に辿り着いた俺は窓から差し込む月の僅かな光りを頼りに、自分の机に近づいていった。  月明かりに照らされた俺の机にたどり着くのは造作もなかったが、その俺の机には……何故か人が寝ていた。  腕を枕にして寝ているため顔は見えないが、制服を見る限り女の子ということは分かった。  ウチの高校は男子がブレザーで女子がセーラー服だから見分けるのは容易だ。で、見る限り俺の机で寝ているのは女子だ。  起こすのはなんとも忍びないが、小説を回収するために心を鬼にして女生徒を起こすことに。  「おーい、ここで寝ると風邪引くぞー」  まず声をかけてみるが、反応は無し。  「おーい、風邪引くぞー」  二度目は肩を揺すってみる。すると、僅かに身じろぎしたが再び沈黙。  「起きてくださーい」  三度目の正直。少し強めに肩を揺すってみると、無言でむくりと起き上がった。寝ぼけているのか、少し虚ろな目で俺を視界に入れた女生徒はこう一言。  「…………だれ?」  (まあ、寝起きならそんなもんか)  「この机の持ち主。そん中に小説が入ってるから取りに着たんだよ。んじゃ、ちょっと失礼して……」  断りを入れてから机をずらし、中の小説を手探りで掴むと、鞄の中へと仕舞い込む。 .
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