第1章  全ての境目

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 最後に、机の元の位置に戻して終了。  「それじゃ、気をつけて帰れよ?」  そう言葉を掛けてみるも、女生徒は未だに眠いのかうつらうつらと船をこいでいる。  俺はそんな女生徒に苦笑いしながら教室から出て行った。  俺は階段を降りながらさっきの女生徒について考えていた。  (…にしても、あんな子ウチのクラスに居たっけ? う~ん………)  クラスメイトの顔を思い出しながら、さっき見た女生徒の顔と比較していく。  最後の階段を降りきったところでようやく検証が終わった。その結果、彼女の名前は思い出せないが顔は覚えていた。  間違いなくクラスメイトの1人で、普段の彼女は前髪で目元を隠してるから一瞬判らなかったが、彼女が船をこいでいる時に前髪が目元に垂れていて、それが思い出すきっかけになった。  (にしても、可愛かったな……)  前髪がかかっていない彼女はとても可愛かった。…あれがギャップ萌えってやつなのか?  そんなことを考えながら昇降口へと辿り着いた俺だったが、昇降口から見える外の景色を見た瞬間、驚きの顔に変わった。  「……………はい?」  教室に居たときは確かに月明かりで明るかった外の景色。それは一変して、強烈な横風に雪が混ざった吹雪へと変わっていた。  吹き付ける風が昇降口玄関の隙間からこぼれ、外の風がどれだけの強さなのかが分かる気がする。  「……たった1分ちょっとでこんなに変わるか……?」  そうグチりながらも下駄箱へと歩を進めようと体重を前に傾けた瞬間───  「すごいふぶき…だね」  「おおっふう!?」  突然俺の右隣から聞こえてきた声に過剰に反応して変な声が喉から出てきた。  オマケに体のほうもあげた声に連動して変な体制に………  変になった体制を戻しつつ声を掛けてきた主を見ると、さっきの彼女だった。紺色のコートを制服の上から羽織り、アイボリーのニット帽とマフラー、手袋を装着した彼女がそこには立っていた。  前髪はサイドにかき分けられていて彼女の顔がありありと見えていた。  白い肌に映える鴉の濡れ羽のような黒髪はよく手入れされているのか、蛍光灯の明かりで前髪に光りの帯ができている。  くりくりとした黒い瞳にほんのりと桜色に染まった頬、整った鼻梁に薄紅色の瑞々しい小ぶりな唇。  とてもキレイだと思った。月並みな言葉だが、俺は彼女に見とれてしまっていた。 .
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