81~90話

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溺れているのか。 それにしては暴れていないし。 それじゃあまさか……? とにかく助けを呼ぼうか。 でもその前に声をかけてみよう。 そう思った次の瞬間、私は気が付きました。 漂う手は、 こちらへ手招きしていたんです。 ゆっくりと。 直感で、私は悟りました。 あれは、人間では無いと。 向こう側へ連れて行こうと、 おいで、おいでと呼んでいるんだと。 怖くなって帰宅した私は、 手が浮いていたとだけ、親に言いました。 そしたら何処かへ連絡したのか、海では捜索が始まったようでした。 だけど結局、 何も見つからなかったそうです。 あのままだったなら、岸に打ちあげられていてもおかしくないのに。 やっぱりあれは、人間じゃ無かったんでしょうね。 それからは、 お盆に海へは入っていません。 ふーっ 87本目の蝋燭が消えました。
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