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溺れているのか。
それにしては暴れていないし。
それじゃあまさか……?
とにかく助けを呼ぼうか。
でもその前に声をかけてみよう。
そう思った次の瞬間、私は気が付きました。
漂う手は、
こちらへ手招きしていたんです。
ゆっくりと。
直感で、私は悟りました。
あれは、人間では無いと。
向こう側へ連れて行こうと、
おいで、おいでと呼んでいるんだと。
怖くなって帰宅した私は、
手が浮いていたとだけ、親に言いました。
そしたら何処かへ連絡したのか、海では捜索が始まったようでした。
だけど結局、
何も見つからなかったそうです。
あのままだったなら、岸に打ちあげられていてもおかしくないのに。
やっぱりあれは、人間じゃ無かったんでしょうね。
それからは、
お盆に海へは入っていません。
ふーっ
87本目の蝋燭が消えました。
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