91~100話

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92.鞄 小さい頃に家に来たお客さん。 その人は、大きな鞄を持っていました。 何が入っているのか気になった僕は、その人に訊いてみました。 すると返ってきた答えは、      君。 鞄を開けると、 確かにそこには僕が入っていました。 驚いた僕は、両親の元へ走りました。 だけど2人とも、お客さんなんて来ていないと言います。 そして一緒に客間へ行くと、 すでに誰もいなかったのです。 後々思い出したんですが、 中に入っていたのは当時の僕ではなく、 今よりももう少し成長した、僕だったんです。 どうして自分だと解ったのかも、 いつか僕があの鞄に入る事になるのか。 そんな事は解りません。 ただ、鞄の中の僕は、 とても幸せそうな顔をしていた気がするんです。 ……まあ、夢だったのかもしれませんがね。 フーッ 92本目の蝋燭が消えました。
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