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目を開けると、そこにはいつもと変わらぬ町並みが広がっているはずだった。
だった、ということで、当然俺の目に広がる景色は俺の知っている町並みとは違っていたわけだ。
残念ながらな。
まず真っ先に飛び込んできたのは、怖いくらいに晴れ渡った青空。目覚めたばかりの瞳をしぱしぱと苛める太陽。
そしてなぜか地面に足のついていない俺自身の状況だった。
「……どんな状況や、これ」
目ぼけ眼と働かない頭で呟く。
なんだかよく分からないが、ずいぶん長い時間眠っていた気がする。
大きなあくびを一回して、ぐっと体を伸ばすとぶらぶらと体が揺れる。え、なにこれ怖い。
ようやく頭が正常に回転し始めてきたので、取り敢えず現状把握をしてみようと下を見てみた。
伸びの余韻でまだ揺れている自分の足が見える。やっぱり足は地面からかなり離れた位置にあって、嘘俺死んだの? なんてのんきなことを考える。
んなバカな。だって俺、さっきまで普通に高校行って部活して、夕暮れに照らされながら帰宅したところだったんだぞ。
疲れて家に帰って、冷蔵庫にたまたまあったキュウリを「なんだよしけてんなぁ」なんて言いながら口に咥えて、録画をしていたサッカー中継でも見てやろうとリビングへ向かうところだったのに。
なのに、目を覚ますとそこは野外。
しかも俺空中に立ってる。もう一度言う。何ぞ、これ。
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