菊子さんの話

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-こちらに引っ越してきたのが昨年末です。今思えば、キッカケになる出来事が起こったのがゴールデンウイーク開けの週末。所謂「ご近所トラブル」です。それから眠れない日が続き、食べ物が入って行かなくなり、体が動かなくなって行きました。  そんな頃、長男から電話があったんです。あっ、長男はもう成人していて地元の方で一人暮らししています。「とにかく、眠れなくて動けなくて、家事もろくに出来なくて、あんたの部屋じゃないけど汚部屋状態になりつつあるよ」と言うと「それって欝じゃねえの?医者行ってきなよ」と言われました。  言われてみれば、テレビでやっていた欝の症状に似ていると思って漠然と医者に行かなきゃとは思っていたんですが、精神科の医院は沢山あるけどどこが良いのか判断出来ず、親しい人もいないので人に聞くことも出来ずにいたのですが、体力はドンドン減って行って、とうとう熱中症で倒れてしまいました。  これはマズイと思っても医者に行く気力も沸かずにいたのです。  六月の末頃に、二階に上がった時にどうしようもなくだるくなってベッドに横になりました。一瞬意識を失ったと思います。その後、白昼夢って言うんですかね、M県の地図が頭に浮かんで、有名な神社のある辺りが光っているんです。そして、今自分の住んでいる所は暗く澱んでいるんです。うつらうつらしながら唐突に思ったんです。 「ここは、M県だけどそれは人間が便宜上付けた名前で神様に取っては関係ないんだ」  そして、一人の姫神様の名前が浮かびました。その神様を奉っている神社を検索して、週末に主人に連れて行って貰いました。その日は、「夏の大祓」が行われる日でした。本当は受けて帰りたかったのですが、息子が留守番していたので、「護符」だけ購入して家に帰りました。  取り敢えず、玄関に護符を置いて「明日、和室に場所をしつらえます」と祈る頃には、ずっと続いていただるさも、頭痛も無くなっていました。病は気からなのでしょうか。その晩から眠れるようになり、食べ物も美味しく食べられるようになりました。朝も起き抜けから動ける。それが久しぶりで嬉しかったです。体温を測ると微熱は続いているのですが憑き物が落ちたようにスッキリとしました。
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