73人が本棚に入れています
本棚に追加
緩いウェーブを描く長い金髪は、横髪だけを後ろで束ねて大きなリボンで結わえている。
残りはそのまま流されて、背中の中央でくるくると踊っていた。
小さな顔に白い肌。
愛らしい装いとは裏腹に、油断のならない光を湛えた切れ長の暗褐色の双眸。
それは濃いアイメイクと付け睫毛に縁取られ、顔の中で強烈なインパクトを放っている。
そして鼻筋の通った端正な鼻梁と、やや大きめの薄い唇。
ピンクのルージュとグロスが塗られたその唇は、淫靡な輝きを放ちながら緩く弧を描いていた。
「政宗……」
どこからどう見ても、女。
しかもメルヘン嗜好のちょっと頭の弱い、女。
俺はその女に見える友人の名前を、苦々しい思いで吐き捨てた。
平良 政宗≪たいら まさむね≫。
彼は今年で二十一才になる、紛れも無い男だった。
最初のコメントを投稿しよう!