平良 政宗という男

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 緩いウェーブを描く長い金髪は、横髪だけを後ろで束ねて大きなリボンで結わえている。  残りはそのまま流されて、背中の中央でくるくると踊っていた。  小さな顔に白い肌。  愛らしい装いとは裏腹に、油断のならない光を湛えた切れ長の暗褐色の双眸。  それは濃いアイメイクと付け睫毛に縁取られ、顔の中で強烈なインパクトを放っている。  そして鼻筋の通った端正な鼻梁と、やや大きめの薄い唇。  ピンクのルージュとグロスが塗られたその唇は、淫靡な輝きを放ちながら緩く弧を描いていた。 「政宗……」  どこからどう見ても、女。  しかもメルヘン嗜好のちょっと頭の弱い、女。  俺はその女に見える友人の名前を、苦々しい思いで吐き捨てた。  平良 政宗≪たいら まさむね≫。  彼は今年で二十一才になる、紛れも無い男だった。
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