光る穴に落ちると森林であった。

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浮遊感の消失と同時に衝撃。続けて、殺されなかった勢いのまま地を転がっていく。 体感していた落下速度とは裏腹にそこまでの痛みはなく、自然に身体が静止してから二人して起き上がる。 サブタイトルの通りであった。 辺りには樹齢が高そうな木々が林立し、根本には土と草との匂いを漂わせながら背の高い草が生い茂っている。小鳥の鳴き声を添えて、枝葉の隙間から木漏れ日が降り注いでいる。 獣の気配はしない。人のそれなど尚更だ。 「……断絶のコートじゃないな」 「兄さんはワタシにレズになれと?」 開口一番がそれだった。 「や、オレが女体化すれば或いは」 「何言ってるの。ユリ熊が出そうな雰囲気でもないでしょ」 周囲を見渡し、オレ達が転がってきた方へかぶりを振ると、蔵にあったものと同じ洞穴があった。 覗きこむが、先程までいた空間が広がっているだけで、とても元の場所へ帰れそうになかった。 「もしかして、異世界にでも迷いこんじゃったのかな」 「ふしぎ遊戯?」 「ワタシ、アラタカンガタリの方が好き」 また落下しても笑えないので、洞穴から離れ少し捜索をする。 「穴に落ちたら異世界とか、笑えないな」 「いや、もしかしたらどこでもドア的な装置かもよ?」 「マジかよ。いやでも、そんな便利アイテムじゃないぞ、見た感じ」 「じゃあ、妖怪の仕業、とか?」 「そうやってなんでもかんでも妖怪のせいにするの、お兄さん感心しないな。妖怪だっておけらだってアメンボだってみんなみんな生きてるんだぞ?」 「兄さんは妖怪のなんなのさ。あと、多分妖怪は生物じゃないと思う」 「死ぬものは森羅万象生物とカテゴライズして間違いないだろ」 他愛もない応酬を交わしながら森を進んでいくが、景色が変わる様子は皆無だった。 しかし何もないな。変わった果実も見当たらない。 「何か見つけても、安易に口にしない方がよさそうだね」 「インベスとかにはなりたくねぇな」 「ヘルヘイムの森程禍々しくないから、その点は心配ないでしょ」 「せめて人が見つかればな……」 しばらく歩いていると、オレはある重大なことに気が付いてしまった。 「スマホが手元にない!!」 「ワタシはあるけど」 「普通掃除にスマホは持ってかないだろ!!」
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