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しばらく見なくなって、就職したのかなーなんて思って忘れかけた頃。 それは突然起きた。 二週間前、彼女は頭の薄い日本史の富田先生の後ろについて突然俺の目の前に現れたんだ。 一瞬本気で呼吸を忘れかけた。 『島本唯(シマモトユイ)です。短い間ですが宜しくお願いします』 ……マジか……。 頭に浮かんだのはそれだけ。 それでもじわりと湧いた嬉しさに、知らず知らず頬が緩んでいた気がする。 真面目で可愛い彼女は男女問わず生徒に人気があった。 その中に混じって話したりもしたけど、彼女は勿論俺のことなんて覚えてもいなくてちょっとだけヘコんだ。 それでも気の乗らなかった日本史の授業がいきなり楽しみになった辺り、我ながら単純だと思うけど。 再び灯った淡い想いに、俺はつい彼女を目で追ってしまっていた。 そんな時、ふと思ったんだ。
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