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「まだ完全に思い出した訳じゃ無いんだけどね」
そう言うと、ソラが私にしゃがむように言ってきた。
言われた通りにしゃがむと、ソラは私の頭に手を置いて。
「僕が記憶を封じてたんだ。だから、戻すね」
そう言って乗せた手に力が入る。
はい?
「コウは力を奪われても輪廻の流れには乗れなかった。だから記憶を封じたんだ。で、この世界に降ろそうとしたら堕神のドタバタで地球に飛ばされてしまって。ゴメン」
申し訳無さそうなソラに、なんて返して良いのかわからなくて無言になる。
「兎に角、記憶を解放するよ?はい、これがコウセイア様の記憶だよ」
パチン、と頭の中で音がしたような気がしたと思ったら、大量の情報が流れ込んできて激しい痛みに襲われる。
意識が朦朧とする。
脳が情報を処理しきれない。
ただ流れ込んでくる情報を右から左に流すだけ。
ううぅうっ。
呻きながら、激痛が通り過ぎるのを待つ。
踞った私の背中を、優しい手が撫でていく。
「コウ!?大丈夫ですか!?」
突然現れたアルフの声が聞こえたが返事が出来ない。
代わりにソラが、封じていた記憶を解放してるんだ、と説明している。
すると背中を擦る手が増えた。
「創世神様が干渉するなんて、何が起こってるんですかね?」
「わからない。でもコウセイア様の力が必要な事態なんだろうね」
2人の会話を耳にしながら、私は意識を失った。
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