ま、最初はテンプレですけどね

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ふむ…これは小説によくある異世界転生もののようだ…おそらく望めばある程度のチート能力を得た上で、僕を殺した勇者様に復讐ができるかもしれないな…まぁしないけど。僕は人生のんびりまったり暮らしたいんだ。そんな破天荒人生嫌だよ。 急に口調がフランクになった神様はニヤリとしながら僕に言う。 「…じゃあ天国にでも行くかい? ここは仏教世界ではないけど似たようなところはあるからね」 それでもいいかもなぁ…と思ったがそれはそれで暇そうで嫌だな。わがまま言っているのは分かるがある程度の刺激は必要かもしれない…とりあえず神様に相談してみるか。 「あ、私の要望をかなえてくれるなら君には私の管理する世界”イアン”に行ってほしいんですよね…実はいろいろ事情がありまして…」 そう言葉を濁しちらっとこちらを見る神様。別に男に見られてもねぇ…ま、性別ないだろうけど。 「実は最近ほかの異世界からチート能力を持った転生者が現れて私の世界に迷惑をかけているんですよ…」 「例えば?」 「魔王が弱いから彼らが魔王を殺し新・魔王と名乗ったりですね」 「それはまた迷惑な…」 よく小説の主人公たちはやっていることだとはいえ世界のことも考えてほしいな…勇者が魔王を倒すというテンプレが崩れると世界の人々悲しむぞ? 「…で、そんなわけで銘葉さんには異世界に行ってほしいのですが…」 「僕に止めろと? チート能力もらっても向こうの方が熟練してるんだから勝ち目ないと思うけど」 そもそも危なくてのんびりできそうにないしそれ 「あ、いや別にそんなつもりはないですよ? ただ単に私はあなたに向こうで残りの余生を送ってもらおうとしているだけですから」 それに何の意味があるのか…別に僕は向こうの世界の生活に未練はないから戻れるといわれても戻らないけどわざわざ異世界に行くのもね…テンプレなら剣と魔法の世界だろうし…僕生物殺せないよ?やらなきゃ殺されるというなら殺されてもいいし。 「珍しい方ですね…自分より相手を優先するとは…」 「いや、ただ生きるのが面倒くさいだけ 向こうでのんびりできるならぜひ行きたいけどね」 実際前の世界では世の中の人は”働く”ということ以外に生きる意味を持っていない人が多かった。 別にニートを擁護しているわけではないしほかに方法がないとも知っているが、そんな世界を嫌だと思ったことは何度もある。
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