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■ ■ ■
「俺は、時風大和。
って、意識がねぇじゃねぇかよ・・・」
俺の腕の中でグッタリしている少女を抱え、歩き出す。
前に、噂で聞いたことがある。
病院から一歩も外に出たことがない女がいるらしいってことを。
そして、その女の外見の特徴には。
散々、聞かされた。
美しい緑眼に、銀色の髪。
正しく、今俺が抱えている女は。
聞いていた特徴と一致する女だった。
「ったく、まさか俺がなぁ・・・?」
噂の彼女と会っちまうなんてよ。
光栄なことではあるが。
出来れば、会いたくなかったぜ。
もう、遅いが。
空いている片手で、前髪をかきあげる。
「・・・どっかの姫かっての」
呆れ気味に笑って言うと、彼女の目が開いた。
「よぉ、お目覚めか。
もう少しで、病院につくぜ」
「ん・・・。ありがとう」
それだけ言うと、
彼女はまた意識を手放してしまった。
厄介事ってのは嫌いだが・・・。
たまには、巻き込まれるのもいいもんだな。
こんなに綺麗だとは。
予定外だ。
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