止まった時間

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さすが土曜日ってのもあるよね。 都内なんて秋葉原以外ほとんど行ったことないから分からなかったけど、ここも秋葉原とは違った雰囲気の人達が大勢歩いている。 歩いている人はスーツを着たサラリーマンか俺よりも数段お洒落に気を使ってる男女多数。 ジーパンに黒のTシャツにパーカーだけの俺。 紫は相応の服装ではある。 意外と大人っぽい格好するんだな。 竹下通りなんかもう凄いよ。 駅から出て一目見た瞬間入るの嫌になったもん。 絶対歩きづらいってくらい人が居るし。 「それで、代々木公園行くんだろ?」 「いや、その前に少し買い物してく。今度妹が誕生日だから何か買ってやらないとなって思って」 「香織のか?」 「香織はとっくに誕生日は終わってる。その下の妹だよ」 「そっか」 そういや、香織の誕生日は何も買ってやってなかったな。 かなり遅いけど何か買ってやるか。 ……待てよ、そうなると三人分のプレゼントを買わなくてはならないのか。 お金足りるかな。 よし、どっかでATMを探そう。 しかし本当に凄いね。 いちいち何かと避けて歩かないとぶつかりそうになるし。 立ち止まると若者向けの派手なアクセサリーショップの店員さんに捕まりそうになるし。 「大丈夫か紫――――っておーい」 紫がちゃんと着いて来てるか心配になって振り返って見れば早速ショップの店員に捕まってやがった。 早いよ、素直に断ろうよ。 なんて思いつつ紫の居る所まで歩いていくと思いのほか紫は店員の話に食い付いていた。 そっか、お洒落は乙女のマナーとも言うし。 「どうした紫?」 「あ、いや。少し気になっただけで」 「あれ、もしかして彼氏さん?」 おい、ショップ店員のギャルっぽい人。 どう見たら俺達がカップルに見える。 「そうです」 「どおぅふ!」 紫、お前はいきなり何を言い出しやがる。
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