両親が居なくなりました

3/10
前へ
/295ページ
次へ
オフ会に参加するのも俺の主な趣味の一つだ。 趣味の話ができる友達が少ない俺にとって、ここはまさに天国とも言える場所だ。 全員が同じ趣味で盛り上がり、語り合い、笑いあう。 初めてオフ会に参加したときはガチガチに緊張したよ。 でも、話してたら自然と溶け込めた。 自然と話の輪に入っていた。 それはきっと、皆が同じ趣味を持っていてくれたからだ。 それがきっかけだった、オフ会に参加するようになったのは。 「さあ、今日も語りましょうぞゆめゆき殿w」 「話のネタはたくさん用意しましたぜw」 オフ会も終わり、空が黒く染まり始める。 目元まで垂れ下がった前髪を気にもせず、えみるさんは空を見上げた。 「私はそろそろ帰らなければいけないので」 「お、いつも最後まで残ってるのに珍しいですな」 「ちょっと野暮用がありましてw」 ドデカイ黒縁眼鏡のフレームを指先で撫で、えみるさんは手提げバックを肩に掛けた。 「どこの駅まで行くんです?」 「私は赤羽で降りるんですよ」 「なら丁度良かった。俺も赤羽駅は通り過ぎるんで、良かったら途中まで一緒に帰りましょうか」
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5044人が本棚に入れています
本棚に追加