両親が居なくなりました

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「はい、そうしましょうか」 そう言って俺とえみるさんは秋葉原の改札を通り抜けた。 『えー、次はー赤羽ー赤羽。お降りの方は足元にご注意ください』 車内のアナウンスがえみるさんの目的地の駅名を告げる。 「あ、それじゃあ私はここで」 「はい、今日はありがとうございました。また話のネタをゲットしておきますねw」 「楽しみにしていますww」 車内はサラリーマンの帰宅ラッシュだったため大混雑であった。 だけど、入り口の近くに立っていたえみるさんは難なく外へ出ることができた。 えみるさんは「ありがとうございました」と言って一礼をすると、そのまま電車が見えなくなるまで見送り続けた。 見た目は大人しそうだけど、話してみれば活発的な女の子。 えみるさんはそんな人だった。 さて、俺も早く帰って貯まったアニメ観なきゃ。  空が完全な夜を告げた。 「ただいまー」 一階の101号室――――――3DKの部屋が俺の実家。 玄関から帰ったことを伝えるが、誰からも返事は返ってこなかった。 そりゃそうだ。 だって嫌われてるもん、妹達に。 妹が三人居るけど、三人とも俺を嫌い、俺も三人の妹があまりすきじゃない。 まぁ、嫌われてる一つの理由に趣味が関係してるんだけどね。
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