オタク兄貴の多忙な日々

両親が居なくなりました

なに意味わかんないこと言っちゃってんの君。

とうとう頭が狂ったか？

――――なんてことは、この時ばかりは思えなかった。

「香織！電話貸せ！！」

「――――あ、ちょっと！」

「もしもし！電話変わりました、兄の祐樹です！」

『お兄さんですか。私、武南警察署の田村と申します。実は夢蔵さんのご親戚の方から捜索願が出されていまして、ご家族の方へご連絡をさせていただきました』

「親戚が…？なんで…？」

『中村さんという方からお電話をいただきまして、いつになっても待ち合わせ場所に来ない――――連絡が一切着かなくなったと言われまして』

「それで、捜索はしているんですか…？」

親父と母親は二人で旅行に行ってた筈だ。

嫌な予感がする。

嫌な予感しかしない。

『はい。旅行先の最寄り駅からお二人のものと思われる荷物が発見されました。貴重品が全て置き去りのまま駅前のベンチで見つかり、事件性があると判断して調査を続けています』

「…マジかよ……」