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いつもと変わらぬ様子の佑に熱い視線を向けながらネクタイを結び終わると、恵はリビングに差し込む朝日に目を細めた。
「今日はええ天気やなぁ」
突然、窓の外を眺め清々しい表情を浮かべている恵に、佑は首を傾げると外を一瞥する。
「ん~? あぁ、そうやな」
晴れてはいるが、特別良い天気という訳でもない外の様子に、佑は首を傾げるとコーヒーを啜る。
そんな佑の素っ気ない態度も気にならないぐらい、難しい顔をしながら新聞に目を通している佑の姿に恵は心躍らせると期待に胸を膨らませながら問いかけた。
「今日は仕事どうなん?」
「どうって?」
少しも視線を上げずに聞き返してきた佑に焦らされるような感覚を覚え、恵は唇を尖らせると両手を後ろで組みながら不貞腐れて見せる。
「せやからっ……いつもより早う帰って来るとかぁ?」
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