第一章

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『カルマが 笑ってる所も 初めて見たんだ。君は いつも 悩んでいる顔をしていたから…。だから…びっくりしたけど すごく 嬉しかった。』 どの位の時間を ノアと過ごしているかは 分からないけれど 少なくとも 笑った事が無いなんて どれだけ 彼を不安にしてしまったのだろう? 一緒に居るのに それは あまりにも 酷な気がする。 『ごめん…ノア。』 自分に覚えは 無いけれど 彼の態度を見れば 謝るべきなのだろう。 『…カルマ。謝らないで。僕は 別に 大丈夫だし…。』 それだけ言って ノアは 歩き出した。 カルマも 黙って 歩き出す。 白い空間 色鮮やかなガラクタ達、不可思議な世界は 何処まで行っても 変わらない。 ノアが 歩みを止めた。 カルマは ノアの隣に並ぶ。 下を見下ろすと あの宙を浮いていたカラフルな ガラクタ達が 地面に埋め込まれている。 けれど 埋め込まれたガラクタは カラフルでは無く 黒い色をしている。 『これが パズル?』 なんて 巨大なのだろう。 まだまだ 完成には 時間が かかりそうだ。 『そうだよ。パズルと言う名の「因果」だ。』 ノアの声が、どこか冷たく感じた。 この空間の中で 最も異質な雰囲気が 漂う。 『因果…。』 決して切り離せないモノ。 目に見えない鎖…。 『これって 完成すると どうなるのかな?』 カルマが 尋ねる。 『…分からない。でも きっと 何か 見付かるかもしれない。だから 二人で 創るんだ。』
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