第一章

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『問題が 出て来たみたいだよ。』 ノアが ほら…と 空中を指差した。 赤い文字が 浮かび上がる。 空中に描かれていくのは 文字だ。 『今回は 割と簡単そうだよ。』 ノアの言葉で カルマは 宙に浮かぶ赤い文字の羅列を読んでいく。 ―閉ザサレタ場所、歎ク者、開カレタ扉、新タナル罪― 意味が分からない。 ノアは 簡単そうだと言っていたけれど 自分には さっぱりだ。 『君には 分かるの?』 カルマが 尋ねると ノアは ニコッ笑って答えた。 『解き方はね…。』 解き方? 一体 彼は どうやって この文字を解くと言うのだろう? 不思議で仕方が無い。 『いつもは 君が解いてるよ。僕は それを見て覚えたんだ。』 ノアの言葉に カルマは えっ?と 彼に振り向いた。 『僕が…解いて来たの?』 信じられない。 『うん…。そうだよ。』 本当に…? 『カルマ、とにかく 君は 見ていて これくらいの問題なら 僕にも解けるし…。』 ノアは そう言って 赤い文字の下に 人差し指で 文字らしき物を書き込んでいく。 文字では あるが それは アルファベットの単語と数字だった。 XとY、数字と古代文字のようなものが 青く浮かび上がった。 あ…これは 方程式だ。 彼が 説き明かそうとしている事が 手に取るように分かる。 カルマの指が 自然に 数字を 形づくる。 文字を当て嵌めて行く。 ノアの解答を 夢中で追い掛けた。 彼と同じように動く指は 順調に 答えに向かって導かれていく。
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