第一章

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悲劇の始まりは 悲劇でしか終われない― それが ノアが 出したかった答えなのだろうか? 間違いに 気付いたから 良かったけれど あのまま 気付いて無ければ 恐らく ピースは 見付けられない。 ノアの意図が 読めない―。 彼は 最初から この世界に居たと言う割には 曖昧な事しか言わない。 どこか 噛み合わない― そんな気がする。 『あっ!あったあった!』 ノアが そう言って 走り出した。 『ゆりかご…見付けたね。カルマの答えが 正解だったって証明だね。』 クルッと こちらに振り返り ノアは 嬉しそうに笑った。 彼の足元に 落ちている ゆりかごは めちゃくちゃな形をしていた。 既に 綺麗な色は失われていて 黒い色に変化していた。 『…ノア。それ…僕が持って行ってもいいかな?』 何故かは 分からないけれど 彼に持たせたく無かった。 あの答えの違いに 自分は かなり戸惑っているようだ。 『うん。別に構わないよ。』 ノアは そう答えた。 カルマは そっと 壊れたゆりかごに触れた。 彼女の悲鳴が 聞こえるようだ。 こうする事でしか 悲劇を終わらせられなかったのだ―と 訴えているようだった。 カルマは しっかりと ゆりかごを抱き抱えて立ち上がった。 ピースとなった 彼女の穢た記憶は どうなるのだろうか? 消えて無くなるのだろうか? ノアは 本当は 知っているのでは 無いだろうか? もしかしたら ただ単に 僕は 試されているだけなのかも知れない。
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