第一章

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僕は 一体 どうしてしまったのだろう? 何故 こんな不可思議な所に いるのだろう? 真っ白な世界― おもちゃ箱をひっくり返したような景色が 広がる。 風が 吹いている訳でも無いのに ガラクタのような物が ふよふよと浮いて流れていく。 真っ白な世界に カラフルなガラクタ…。 ここは…本当に何処なんだ? そして 僕は 大きな時計台の上に立っていた。 大きな文字盤に 歪んだ形の時計の針が 近くにあるからだ。 じっ…と 時計を見ていると 秒針が狂っているみたいで 動いたり 止まったりを繰り返す。 時折 逆に回ったりするのだ。 壊れているようだった。 でも そんな事は どうでも良くて こんな変な場所から 一刻も早く 元の世界に帰りたい。 けれど 気付いたら こんな場所に居た訳だから 帰り方すら 考えつかない。 僕は 何をしたのだろう? 何か 間違えたのだろうか? 少年は 時計台の壁に寄り掛かりながら ズルズルと座った。 どんなに 考えても 分からない事は 分からない。 誰か 居れば まだ 気も紛れるかもしれないが ここには 誰も居ない。 まるで 箱の中に閉じ込められてしまったかのようだ。 このまま ずっと ここから 出られなかったら どうしよう? 少年は 膝を抱えてふさぎ込んだ。 夢かとも思ったけれど 違うと すぐに気付いた。 だって 自分は 寝ていなかったと思う。 いや 多分…そうだった筈だ。 …よく 覚えていないけれど。 あれ? 僕は 今 何を考えていたんだっけ? えっと…。 少年は 首を傾げながら考えていた。 『やっぱり…ここだったんだね…。』 そう言いながら フワリと 見知らぬ少年が 舞い降りた。 居たのか…自分以外の者が。 けれど 安心するべきなのか 警戒するべきなのか 選択に迷ってしまう。
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