第一章

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それから パズルに集中した僕は かなり ピースを埋める事が出来た。 ノアは 何も言わずに 手伝っている。 これならば 時間が 巻き戻る前に 完成出来そうだ。 途中 休憩をしながら 黙々と問題を片付けていった。 僕も ノアも 話す事も無かった。 そして やがて 最後の問題に 差し掛かる前に ようやく ノアが 口を開いた。 『ねぇ…カルマ。君、もしかして 記憶戻ってる?』 ここまで 来たなら もう隠す事も無いだろう。 『戻ってるよ。』 だから 素直に そう答えた。 『そう…。良かった。だったら 最後の問題に 取り掛かろう。』 ノアは ニコッと笑った。 少しすると パズルの空白から 赤い光が 地下から吹き出すように 現れた。 最後の問題だからだろうか 今までとは 違う。 カルマは グッと 拳を握り締めた。 赤い光は 大きな柱の様に 天を目掛けて伸びていく。 やがて ピタリと動きが 止まると その赤い光の柱が 崩れながら 数字を形作る。 それも バラバラに 撒き散らされていく。 どこからが 問題の始まりなのかさえ 解らない。 無造作で 羅列が めちゃくちゃだ。 『…カルマ、どうしたの?』 ノアが こちらに振り向いた。 『…どうしたって言われても この問題、本当に問題なの?どこから 手を付けていいか、全く解らない。君には 解るの?ノア…。』 明らかに この膨大な赤い数字に 自分は 躊躇しているのに ノアは 全く 動じていない。 『さあね…。数式は 君の得意分野だろ?それに この問題は 君にしか解けない。僕は 手出し出来ないから。』 ノアは そう言って また 笑った。
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