第一章

25/28
前へ
/28ページ
次へ
『パズルは これで 完成…。』 ノアが そう呟くと 埋め尽くされたパズルのピースが 浮かび上がった。 ノアの手が 時計台に向けて 振られると パズルのピース達は あの狂った時計台に 吸い込まれるように 流れて消えていく。 すると ふよふよと浮かんで流れていたカラフルなガラクタ達の動きが止まった。 時計台の針が 重なり合う。 歪んだ鐘の音が 鳴り出した。 不協和音が また 世界を狂わせていく。 『カルマ…。次は 僕達の答え合わせの時間だよ?』 ノアの口元が 再び笑みを作った。 答え合わせ? 『さあ…君の答えを聞かせてくれない?』 ノアが 手を差し出す。 『僕の答えなんて 最初から決まってる。君をこの世界から 救う事だよ。君だって 同じだよね?だから あの時 僕の手を取ったんだろう?』 切り離されていく時の 彼の悲痛な叫び声を 今だって 鮮明に覚えている。 絶対に忘れられない出会いだから― 『同じ…?僕が?…カルマ、それは違うよ。僕は 忘却だよ?人類の穢た記憶を封印する存在なんだ。君と同じ訳が無いよ。』 『だったら 君の答えは何?僕とは 違うの?君にだって 未来は ある筈なんだ。僕になら 叶える事が出来るんだ。』 ノアの答えを 僕は 知りたい。 『…僕はね カルマ。未来なんて要らないんだ。ただ 繰り返していければ それで良いんだ。ここは 切り離された空間で 世界でも何でも無い。忘却の空間でしか無い。未来なんて 見る必要なんか無いんだ。』 『ノア…君は…もしかして…。』
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加