第一章

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『カルマ?大丈夫?』 ノアの声に ハッと我に返った。 『僕…君の話を聞いても まだ 何も思い出せないんだ。』 ガラガラと崩れていく音が ずっと 鳴り止まなくて 不快だ。 『焦らないで 良いよ。いつもの君なら 必ず ちゃんと思い出せるって さっきも言ったよね?』 『うん…。分かった。今は 何も考えないようにするから…。』 ノアの言う通り 何も考えなければ 焦らなくて済む。 この不快な音からも 解放される。 『僕は 少し出掛けて来るね。』 ノアが ソファーから 立ち上がった。 『出掛けるって 何処に?』 カルマが 尋ねると ノアは ニコッと笑って答えた。 『パズルをしに行くんだよ。』 『パズル?』 カルマが キョトンとしながら 首を傾げた。 『そう…僕と君で 創りあげているモノだよ。』 ノアと創るモノ…。 何だか とても面白そうだ。 『ぼ、僕も行って良い?』 一人 取り残されても 退屈なだけだ。 それに また 要らない事を考えてしまうかもしれない。 『…良いけど。今の君に出来るのかな?』 ノアは 首を傾げながら こちらを伺った。 出来る自信は 無いけれど でも きっと 楽しいと思う。 『多分…何とかなるかも…しれないし…。ダメかな?』 怖ず怖ずと 再度 尋ねると ノアは プッと吹き出した。 『本当に 君って人は 困った存在だね。良いよ…。一緒に行こう。』 開かれたドアから 白い光が 差し込んだ。
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