君がくれた色彩

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”もうすぐ、僕らも受験ですね。出来れば夢中さんと、中学最後の思い出に水族館に行きませんか”  中学校生活も、あと半年と言った所だった。受験真っ只中であったが思い出を作るなら、これが最後かも知れない。  夢中さんは、女子高に進むらしい。一方、自分は地元町の今日が共学高校へ進む。  つまり、これを逃せば会う機会自体が少なくなってしまう。  里中は、どうしてもちゃんと気持ちを伝えたかった。そして返事は。 ”わかりました”  ノートには小さくそう書かれていた。  飛び跳ねる様な気持が抑えられず、デートの日までろくに眠る事も出来なかった。  その間も、ノートの交換は続き、色々な事を書き込んだ。  ノートを見る限り、夢中さんも受験の息抜きと、里中と同じ様に楽しみにしている感じが伝わっていた。  そして当日。
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