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「…………最後に」
そう言うと、夢中さんと向かい合う様にして肘を絡ませた。
吐息が聞こえるほど近く。お互いの視界が相手で埋め尽くされる。
そして夢中さんはゆっくりと目を瞑った。
覚悟は出来ていた。もし、夫以外にこう言う事があるとすれば彼以外居ないと。
お互いの顔が近づくのが解った。かかる吐息がくすぐる頬。
しかし、里中君の唇は私の額にしか当たらなかった。
「………………どうして?」
言葉が漏れた。そして里中君は私から離れた。
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