君がくれた色彩

9/43
前へ
/167ページ
次へ
 そう言えば、駅と時刻は書いたが、駅の外か中どちらでとは書いた覚えがない。 「ご、ごめん!」  謝ると、何故か夢中さんはクスクスと笑い始めた。 「何か謝ってばかりですね」  言われてみればそうだ、二人っきりになるのは二度めであった為でもあったが、恥ずかしさもこの上なかった。  白地のワンピースにピンクの水玉の描かれた服と、麦藁帽子と片手にする夢中さんを見るだけで心が高鳴った。 (そう言えば私服は初めてみる)  そんな事を考えていると、自分の恰好が気になった。Tシャツにデニムのラフな格好が彼女と歩くと気恥かしいような気もした。 (まぁいいか)
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加