君がくれた色彩

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 そう言い、廊下に出ると向かいから長い髪の女の子が来るのが見えた。  それは鮮烈な感情を模した様な夕焼けと共に、一枚の絵画の如く完成された情景だった。 ーーーーーー全身が熱い。  そう考える事しか出来ない程の血流を感じ、心音は五月蠅いほどに耳にまで届く。  唐突に訪れる感情の波は、まるで蜃気楼のように儚げで美しかった。  僕はただ、そこで立ち止まることしか出来ない。  それが彼女との出会いだった。  放課後の廊下で、突然自分の中に秘められたもう一つの感情が芽生えた。 ーーーーーそれは恋。
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