君がくれた色彩

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 ジッと彼女の事を見つめてしまっていた所為であろう。 「あの?どうかしました?」  一瞬、ハッとした瞬間に出た言葉は。 「え、あ、あの…………すす、好きです!!」  もはやパニックだった。名前も知らぬ女の子にいきなり告白してしまった。  何がどうしてこうなったか、ただ今言わないといけない様なそんな気がした。  そんな僕を見て、彼女は少し俯いたまま小さく笑うと。 「フフ、おかしな人ですね、じゃあまずお友達からで」  そう言い、名前を教えてもらった。  彼女の名は、夢中 光(ゆめなかひかり)さんと言う名前だった。  その日、たまたま居合わせた運命の歯車は、良い物だったか悪い物だったかは今は解らない。  ただその日は、きっと長い人生で二番目に幸せな時だったに違いない。  こうして、僕らはお互いの事を知ろうと、交換日記を始める事になった。
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