君がくれた色彩

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 それから何度も交換し、お互いの家庭環境や学校でどう過ごしているのか等。  気づけば、沢山の情報の共有を果たした。  何時しか学校で会えば、小さく手を振り合ったりもするような中になった。  ただ一つだけ、不自然に思っている事があった。 ”もしよければ、次の日曜日に動物園に行きませんか?”  彼女は将来獣医か、ペットショップを開く事が夢だと書いていた為この場所を選んだ。  しかし返ってきた返事は。 ”ごめんなさい、次の日曜日は予定があって”  一度二度ならば、それほど気にはならなかった。しかし、これで五度目だった。  もしかすると自分に警戒をしているのだろうか?  それとも、本当は自分の事など何も感じていないのだろうか?  そんな事ばかりが、頭を駆け巡り悶々とした日々を過ごしていた。  そして、僕らにも受験の本格的な動きが出始めた頃だった。
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