自覚

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「昔からそうですよね。」 「おまえはちがうのか?」  おまえもだろ、とでも言うような顔だ。 「俺ですか?俺もまあ、そうですけどね。」  そうだった。俺とタカヤさんは似てる。 「そーいやおまえ、今一人じゃねえんだっけ?」 「え?」 「家出たんだよな、彼女と暮らしてんのか?」  ああ、そういう意味か。  相手はユズルさんだ。厳密には彼女、ではないのだが・・・どう答えるべきか迷う。いつも家で誰かが待っていると思われて、今後気を使われるのも困る。 「えっと、まあ。半同棲・・・ですかね。」 と、答えておくことにする。 「そうか。いいなぁ。なーんで、マナトに女がいて俺にできないんだ。」  つまらなそうな声だ。 「それは、作らないからでしょう。」  俺は酒を口に運ぶ。 「たしかに、それもあるな。忙しくて女の相手してる暇がねえわ。おまえみたいに同棲するまでになればいいんだろうけどな。」  言ってることはわかる。一緒に住むようになるといろいろと手間がはぶけるというか、わざわざ会いに行かなくても毎日傍に居られる。  タカヤさんはそれ以上俺のプライベートには突っ込んでこなかった。興味がないのと、気を使ったのと両方だろう。  適当な時間で切り上げて、タカヤさんの部屋を出る。  駅からアパートに向かって歩いていると、携帯が鳴った。  ユズルからだ。  俺はほろ酔いで、ユズルの声を電話で聞きながら歩くのは気分がよかった。けれど、俺の気を他所に、もうすぐ着くんだなっと素っ気なく電話は切られてしまった。まあ、素っ気ないのはいつものことだ。 部屋に着いてタカヤさんの部屋に行っていたことを話すとめずらしくユズルがタカヤさんの話に食いついてきた。いつもはタカヤさんの話題は流すのに。女がいるとかいないとか、そんなこと今まで気にしたことなかったのに。  なんとなく不愉快になって、俺は話を切り上げた。  どういうつもりなんだろう。もう吹っ切れたってことなんだとおもいたいけれど。  俺と付き合ってるんだから、気にし過ぎなんだろうけど・・・。ユズルがタカヤさんのことを好きだったのはずっと前の話しだ。気にし過ぎなんだろうけれど胸に引っ掛かる。
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