自覚

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 週末、俺は土曜日出勤。仕事をしているとユズルからメールあって迎えにくるという。めずらしいこともあるものだ。だいたいの終わり時間を連絡する。  俺は一緒に出勤していたタカヤさんと職場を出て駅に向かって歩いた。タカヤさんも途中までは同じ帰り道だ。  歩いていると前方からこちらに歩いて来る人物を見つけてギョッとした。立ち止まりかけたけれど、なんとかタカヤさんに合わせて歩く。  タカヤさんは気が付いている様子はない。さすがに気が付かないようだ。やがて、その人物が目の前まで来る。向こうはこちら目がけて歩いて来たようだった。    タカヤさんは目を丸くして足を止める。  ユズルはにやにやとタカヤさんを見てる。  再会を祝して三人で飲みに行くことになった。ずっとタカヤさんを避けていたユズルがいきなりタカヤさんの前に姿を現すことにした理由はわからなかったけれど、二人が並んで話しているのを見て懐かしさが込み上げるとともに少しほっとしたような気分になった。  二人には久々の再会なのだが、日常的に二人と接している俺にとっては二人の間につながりがないことがずっと不自然だった。これでそれも解消されるわけだ。  ずっと会っていなかった割に二人の会話は昔と同じテンポで進む。 ああ、この感じ・・・。俺は昔に戻ったようでついうれしくなる。  ユズルは自分を仕事に引っ張ろうとするタカヤさんを面倒そうにあしらう。タカヤさんが言うようにユズルも一緒にやれたらどんなにいいか。  けれど、ユズルにその気がないことを俺はよく知っている。  あの頃には戻れないけれど、二人は今も俺の傍にいてくれて俺にとって大事な存在になっている。     翌週。今日はユズルが早く帰って食事を作って待っていてくれるというので俺はできるだけ早く仕事を片付けて職場を出た。    職場近くの駅に向かう途中に見慣れない黒っぽいセダンが停まっている。仕事柄周囲の観察は癖になってしまっている。暗くて運転席はよく見えなかった。少し気になったけれど、ユズルが待っているのでそのまま通り過ぎた。
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