同棲

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「っこらっ、冷てえ・・って。マナト」 「ユズル。」 「なんだよ。」 「なんか、ユズルがここにいるって信じられなくて。」 「はあ?なにいってんの、おまえ。」 「だって・・・。」 「わかったから、離れろ。冷たい。」 「ごめん。」  ユズルは俺を見てうれしそうに笑った。  着替えを済ませて、俺は作詞活動。  仕事を変わったばかりなので、このところ歌っていない。けれど、アツキさんとは連絡をとって新曲の準備をしている。  俺は新しい曲の作詞をしなくてはならないのだが、ユズルとの時間にかまけてしまい進んでいない。 「なにしてんの?」 テーブルでノートに向うを俺を珍しそうにユズルが覗き込む。 「ああ、作詞か。新曲?」 「ん?そう。アツキさんに送らないといけなくて。」 「アツキさん?なんで?」 「アツキさんが曲つけてくれてんだ。」 「曲?あの人そういう人なのか?」 「うん、昔あのライブハウスに出てた人なんだ。」 「へえ。」 「アツキさんって歌うまいんだ。いい曲書くし、俺としてはアツキさんに歌ってほしいんだけど、本人にその気がないっていう。」 「ってことは、前の曲もあの人が?」 「うん、そう。作詞は2曲とも俺だけどね。」  ユズルを想って書いた2曲。俺はユズルを見る。気が付いているのだろうか。自分のことだと。 「ふうん。」  ユズルは戸惑ったように視線を逸らす。気が付いているらしい。  俺は満足してノートに視線を戻す。   「なんだよ。」 「ううん、別に。」 「じゃあ、なんで笑ってんだよ。」 しまった。俺はにやけてしまったらしい。 「いや、俺の創作活動に多大な貢献をしてくれてるよ、ユズルは。」 「そうかよ。・・・それは、よかったよ。」  ユズルはそう言うと、俺から離れてテレビを見に行ってしまった。  けっこう照れ屋だよな。  俺はそれから思うままに言葉を並べた。  新曲が出来たら、歌いに行こう。  仕事が忙しいし、休みの日はユズルと過ごしたいからついついライブから足が遠のいてしまっていたけれど、自分の言葉を並べればやはり歌いたくなる。  ついでに、ライブ仲間にも出演の予約を入れるために連絡を入れる。すぐに電話があって二週間後の土曜日に歌うことになった。電話を切って、テレビを見ているユズルのとなりに座る。
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