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俺達の時から比べると、調査結果の内容が落ちている。まあ、俺達はガッツが入ってたから。仕方ないのかもしれなけれど・・・できない子達ではないんだけど。
俺がブレーキを掛け過ぎなんだろうか。だけど、子供にあまり危ない真似はさせられないし。
事務所へ戻ると当然まだ明かりがついている。セイジさんもタカヤさんもまだいるようだ。俺は取りあえず、二人に戻りましたと声を掛けて自室に戻る。デスクで自分の仕事をまとめて、高校生の書類に目を通す。
ノックの音。セイジさんが入って来る。
仕事をいくつか頼まれたり、頼んだり。セイジさんは堅い仕事をする。俺やタカヤさんはけっこういい加減と言うか大雑把だけれど、セイジさんの仕事は正確で緻密。信頼性が高いけれど、息が詰まるような感覚を覚える。
「今日、タカヤさんと飲みに行くけど、マナトもいこうぜ。」
「え、ああ。ぜひ。」
「よし、じゃあ、あと一時間くらいで出るから。」
「わかりました。」
三人で連れ立って近くの居酒屋へ。
「だいぶ固まってきたな。」
一通り注文を終えると、タカヤさんが言った。
「何がですか?」
俺は何かあったかなっと頭を巡らしながら応える。
「なにがって、おまえ。仕事だよ。」
タカヤさんが応える。
「ああ。」
そういう意味ね。
「どういうやりとりなんだよ。」
セイジさんがクスクスと笑う。
「そうですね。まあ、ちょっとは慣れてきました。伊藤って呼ばれるのも。」
「ああ、そっか、マナトは高校生担当だもんなぁ。俺もあるんだよな、なんでしたっけ。」
セイジさんは自分が高校生相手に使う苗字をわすれたらしい。まあ、無理もないけれど。
「後藤だよ。ちゃんと覚えとけよ。まあ、おまえは俺たちみたいにOBじゃないから、いいけど。間違っても俺達がタカヤとマナトだってもらすなよ。」
「ああ、そうだ。そのことですけど、タカヤさん、この前高校生んとこいったんですか?」
俺は今日高校生から聞いたことを思い出した。
「え、ああ。」
タカヤさんはそういったものの曖昧な顔をしている。おそらく覚えていないのだろう。
「変なこと吹き込むのやめて貰えます。今日、俺の成績がよかったとか言われたんで。」
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