灰色の夜

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 それから二年は寮と職場の往復の他は洋服を買いに行くかレンタルビデオショップに行くか、たまに誘われてカラオケに行くか位しか外出しなかった。しかしそれでも十分幸せだった。  そんなある日。同じ職場の女の子に急にメンバーが足りなくなったからという理由で合コンに出てくれと強く頼まれた。ちょっと不安ではあったが、合コンというものに興味があったので、参加を約束した。  そしてあの日、今となっては忌まわしいだけのあの日。二葉は合コンに行き誠の向かい合わせの席に座った。 「はじめまして。高良田誠(たからだまこと)です」  誠は毛先に細かい段差をつけたショートカットの黒髪に、粗くパーマをかけていた。  その顔は向こうのテーブルに座った灰色のスーツの男ほどではないが、割りと整った顔をしていると二葉は思う。  また、誠が身につけていた白い七分袖のカジュアルシャツに細めのジーンズ、クリーム色のスニーカー。それらも二葉には好ましく見える。  話始めると初対面だったのに恐ろしいほど話が弾んだ。合コンの終わりには、自分から積極的にメアドを交換していた。
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