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夢からさめて
真っ暗な世界で一人佇む。
上も、下も、右も、左も。
どこまでも続く暗黒。静寂が支配するそこでは、自分の呼吸音以外に音を発するものはない。
ただ突っ立っていても仕方がないと、とりあえず一歩を踏み出す。
「───」
カツン、と足音が響いた。
…よかった。どうやら踏む地面はあるらしい。そんな安堵にも似た感想を抱きつつもまた一歩進む。カツン、カツン、カツン。暗闇の中を彷徨う。ただ、どこかに光はないかと目を凝らす。
歩き続けるうちに、ふと思う。自分の体すら視認できない暗闇の中、宛もなく歩き続けるのは一体全体なんの苦行なのかと。
立ち止まっていても意味がないとは思うが、はたして…自分は、何故こんな場所にいるのだろう。
「夢なら…早いとこ醒めてくれ」
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