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ある日、少女が迷い込んだ大きな家の庭。
大きな家というのは広大な敷地に建てられた立派な家、という訳ではなく、そう言う通りに"大きな家"だ。
見た目は庶民的な一軒家。二階もあり、瓦の屋根とレンガの壁がちょっとレトロでどこか可愛らしい印象もある。
庭には、かなり樹齢のいっていそうな桜の木が一本、他にも様々な色の花を咲かせる木々がのびのびと高い空を目指して枝を伸ばしている。
そんなに広くない庭だが、背の高い木々のアーチの中をくぐっていくと、自分が小さくなったような気がした。
少女は平均的な身長からはほんの少し小柄であるので、普通に歩いていても小さいのだが。
やっとの事で、という単語をひとつ付け加えて、少女は家のドアへたどり着いた。
近付いてみてしみじみ思う。
このドアは巨大だ。小柄な少女が見上げると、ドアの取っ手にすら届かない。とても少女の細腕では押す事も引く事も出来ないだろう。
「これは試練の扉なのかな?」
眉を寄せる少女はひとり呟く。
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