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まったく…あの馬鹿ツインズめ、別に北条くんは迷惑かけてるわけじゃないのに…。
逆に、よく気が利いて世話やいてくれてるのに。
どうして出ていけなんて言うのかしら…。
「ごめんね、北条くん。
優と秀がヒドイ言い方して、悪気はないと思うけど…」
「別に気にしてないです」
北条くんは涼やかな声で応えた。
私は、ハア…とため息ついて愚痴りはじめる。
「だいたい優と秀の方こそ私を巻き込んで、アレしてコレして我が儘言って世話やかせるくせに…―…」
あれ?北条くんって、私の世話ばかりやいてる気がする。
「―ねぇ…、なんでいつも私の世話やくの?
私は双子の世話なんかやきたくてやってるわけじゃない。
幼なじみで昔から一緒にいたから、ついズルズルと面倒みるはめになってるだけ。」
そう、私は面倒なんてみたくない。
「でも北条くんはなんで?
自分からお茶を入れてくれたり、雑用を進んでしてくれたり、帰りも近くまで送ってくれたり、まるで召し使いみたいに。
本当は私みたいに別にやりたくないんじゃ…」
「違います」
北条くんは私の言葉を遮るように、でもきっぱりと否定した。
「オレがしたいから奉仕してるんです。
嫌なら初めから近づいていません」
「こんな召し使いみたいなことを?」
「はい」
「…北条くん…、マゾなの?」
プッと北条くんが吹き出して、クスクスと笑いながら、
「そうかもしれません」
と応えた。
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