序章

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 体育館の前ではクラス表を配っていた。先生が三人立っていて、その前には行列がそれぞれできている。  俺は特に何も考えずに一人の先生の前に並ぶと、周りを見回してみた。  まず右手には校舎。その校舎からは体育館まで屋根付きの渡り廊下が設置されていて、多分雨の時はあそこを通ることになるのだろう。  そして俺たちが並んでいるのは体育館の正面。そこには大きな扉が一つある。恐らくは、こういった入学式とか卒業式の時のための、大勢が一気に体育館に押し寄せる時のためのものだろう。  次に、左手にはプールが見える。この学校にはどうやら水泳の授業があるみたいだ。プールまでの距離は若干離れていて、手前には更衣室がある。その更衣室は結構年季が入ったものでボロっちい。  最後に後ろ。そこには結構な広さの校庭な広がっていた。俺が全力で走って30秒くらいはかかるだろう。  と、そこまで確認したところでクラス表を受け取る番になった。 「はい、どうぞ」 「あ、ありがとうございます……」  え、何なのこの先生。めちゃめちゃ可愛いんですけど。思わず赤くなっちゃった上に声小さくなっちゃったんですけど。 「ふふ、入学おめでとう」 「あ、ありがとうございます……」  いやいや同じ返事とか何してんの俺!?  あまりの恥ずかしさに、そそくさとその場を後にする。俺女の人耐性なさすぎでしょ……。  そんな風に落ち込みながらもふっと気になって後ろを見てみれば、先生は笑顔で少しこちらに手を振っていた。俺がぎこちない笑顔でそれに返すと、次の生徒へと紙を手渡す。なんていい先生なんだ。好きになりそう。いやならないけど。  でもあの先生が担任なら毎日喜んで学校行っちゃうね。皆勤賞とっちゃう勢い。  ……そういえば、俺が並んでる列はやけに男が多いなと思っていたけど、あの先生が理由か。そりゃあ並ぶわ。
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