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さて、王宮に潜り込んだは良いが、どうやって混乱を招くか……。手始めに、王国で有名な王太子を陥れよう。王の縁者に何かあれば、さすがにこたえるだろう。
とりあえず、情報収集をする。集めれば集まるほど、悪評ばかり貯まる。王公貴族とは思えない服装に態度だ。口調が荒いのに加え、容姿も変わったものだ。
ーーいや、容姿については前から知っていた。
雪が降る季節。私は確かに彼に会っていた。覚えてはいないだろうが……。水色の髪に赤い瞳。色は違えど、私の敬愛するあの方に似てきた。
「問題は、あの娘だ」
最近、王宮配属になったミスティ=クラウディアについてだ。私が色々調べている内に入ってきた。気に食わない。あれが来てから、王太子が変わった。仕掛けるにも、やりにくくなった。
ーーそうか。あの機会を狙えばいい。
さすがに、新人のアイツも知るまい。考えると肩が震えてならない。空を見上げると、すでに夜更けの空模様だ。三日月が、私を祝福するかのように辺りを照らす。
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